原材料と商品

Blue cotton t-shirt

Gap Inc. は二酸化炭素排出量の少ない繊維を選び、水の使用量を減らし、廃棄物の発生を抑え、生物多様性を保護する取り組みを支援することに全力で取り組んでいます。当社が使用する繊維のほとんど(約98%)を占める原料である、天然繊維(コットン、リネン、ヘンプ、動物繊維)、合成繊維(ポリエステル、ナイロン、エラステインなど)、人工セルロース(ビスコース、レーヨン、モダール)に焦点を当てて取り組んでいます。                                                                                        

こうした取り組みは2050年までに炭素排出量を実質ゼロにし、水の還元量が使用量を上回ることを目指す当社の大きな野心的目標を達成することにつながっています。

目標

進捗

2025年まで

持続可能性の高い供給源*からのコットン調達率を100%にする* 

2022年

81%のコットンを持続可能な方法で調達 

2025年まで

すべてのブランドでポリエステルの45%以上を再生資源(rPET)から調達するという目標を掲げる

2022年

ポリエステルの16%をリサイクル原料から調達 

(全社レベル、全ブランドにおいて) 

* ベターコットン(旧BCI)、米国産認証綿(USCTP)、オーガニック、イン・コンバージョン(転換期間中有機栽培コットン)、再生コットン、リジェネラティブと定義。

 

当社の繊維調達の進捗に関する詳細とこれまでの実績は当社のSASB指標をご覧ください。

私たちのアプローチ

Gap Inc. の推奨繊維戦略は、環境への影響が少なく、社会のウェルビーイングを支えることができる、レジリエンスを備えたサプライチェーンを築くことを目指しています。当社はブランドや商品開発チームによるより良い意思決定を可能にする影響測定指標の開発、サプライチェーンパートナーとの協力、業界のイニシアチブへの参加によって、この活動を支援しています。

推奨される繊維を特定するため、サステナブル・アパレル連合のHiggマテリアルズ・サステナビリティ・インデックス(MSI)やTextile Exchangeの推奨繊維・素材マトリクスなどの業界ツールを使用しています。

また、Gap Inc. では地球温暖化の可能性、水の使用、富栄養化などの指標を含むライフサイクル評価(LCA)データに加え、生産における生物多様性、循環性の可能性、化学、土地利用の変化、社会的条件の包括的評価を用いています。当社はリジェネラティブ農業と化石燃料由来の原材料の代替品を採用するため、各種定義と実証されたアプローチを開発する方法も引き続き模索しています。

Gap Inc. 傘下のブランドは、独自の原材料目標を設定し、 商品の環境負荷に関する意思決定の80%以上がなされている商品開発の工程に推奨繊維を使用するソリューションを組み込む権限を与えられています。当社のESGチームは、より持続可能な意思決定を可能にする包括的なリソースを提供しています。これにはトレーニングセッションの録画、定期更新される繊維消費レポート、社内向け商品表示ツールキット、MSIデータを使って当社ブランドの気候や水への影響を測定する計算ツールなどが含まれます。

 

透明性

Gap Inc. の取り組みの中でも重要なのは、サプライヤーと協力して持続可能な製造工程を開発することです。サプライチェーンのあらゆるレベルとつながるために、私たちは透明性と可視性の向上に取り組んでいます。2021年現在、当社はOpen Apparel Registryを通じて、すべてのティア1サプライヤーについて報告を行っており、ティア2については65%以上の可視性を確保しています。

 

天然繊維

選択肢をより拡大して繊維の安全性を向上させるため、Gap Inc. は天然繊維(コットン、リネン、ヘンプ、動物繊維)の調達にポートフォリオアプローチをとっています。

私たちはGap Inc. の全ブランドにおける繊維消費の大部分を占めるコットンに特に力を入れています。コットン戦略としては繊維の安全性を高め、調達リスクを評価し、人と地球にとってより良い、より持続可能なコットン供給源を開発しています。

パートナーシップ:2020年に当社はTextile Exchangeの2025年サステナブル・コットン・チャレンジに参加しました。また、当社は米国の綿花農場で行われている持続可能性の取り組みの検証データを提供するU.S.コットン・トラスト・プロトコルに最初に署名した企業です。さらにはTextile Genesisや Better Cotton 、その他のブランドと提携し、サプライチェーンにおける追跡可能性を確実に向上させています。米国外ではインド、中国、パキスタンの水ストレスに悩む地域から調達する際の社会的・環境的リスクについて理解を深めています。

当社は不透明で複雑になりがちなコットンのサプライチェーンで発生する人権リスクを注意深くモニタリングし、管理しています。そして労働者の権利保護が整っていない国、または強制労働や人身売買のリスクが高まっている国を特定する高水準のリスク評価を実施しています。これらの評価は専門知識を持つ利害関係者による助言に加え、労働問題を扱う国際的な非営利団体Veritéによる Forced Labor Commodity Atlas(強制労働商品地図)や米国国務省によるFindings on the Worst Forms of Forced and Child Labor and Trafficking in Persons Report(最悪の形態の強制労働、児童労働、人身売買に関する所見レポート)といったツールを活用しています。

当社の動物福祉に関するポリシーはこちらからご覧いただけます。

Stacked spools of thread

合成繊維

当社が商品に使用するポリエステル、スパンデックス、ナイロン、ポリウレタンなどの合成繊維はアパレル商品に欠かせない機能性を備えています。しかし、合成繊維は再生不可能な石油系の原料に由来したものがほとんどであり、天然繊維に比べて不要になったときの処理方法が限られてしまいます。

これらの課題に対処するため、私たちはより持続可能な合成繊維の調達、製造効率の改善、これらの素材を使用した高機能な商品の開発などを進めています。当社は特に、重要な機能性繊維でありながら代替素材がほとんどないナイロンとポリウレタンについては、より低負荷な素材を開発することにコミットしています。衣料からのマイクロファイバーやマイクロプラスチックの排出に関する研究開発(R&D)の進展に伴い、最新の知見を推奨繊維戦略に取り入れていく予定です。

パートナーシップ:Gap Inc. はMicrofibers Consortium、Textile Exchangeの再生ポリエステルラウンドテーブルおよび有機繊維ワーキンググループの常任メンバーとして、より持続可能な繊維に向けた業界内の革新の調査に取り組んでいます。またリサイクルの実践機会を拡大するため、香港繊維アパレル研究開発センター(HKRITA)と協力し、繊維化前後の廃棄物からスパンデックス、ポリエステル、コットンを分離するプロセスの革新に取り組んでいます。

人工セルロース繊維

Gap Inc. は生物多様性の促進、水流の保護、大気への二酸化炭素排出の緩和を可能にするかけがえのない森林や生態系の保護にコミットしています。

当社の木質由来繊維ポリシーでは、私たちのサプライヤーが古代林や消滅の危機にある森林、保存価値や炭素価値の高い森林地帯を使用してレーヨン、モダール、ビスコース、リヨセルといったセルロース素材のテキスタイルを作らないよう徹底することを目指しています。この基本ポリシーのもと、最高レベルの森林施業を検証してクローズドループやより持続可能な製造工程を取り入れた「グリーンシャツ」「ダークグリーンシャツ」生産企業を評価したCanopy社の「ホット・バトン・レポート」に基づき、推奨ポリシー「グリーンシャツ」を採用しています。

パートナーシップ:Gap Inc. はCanopyStyleとともに、サプライヤーが生産に際して古代林および危機に瀕している森林からの調達を確実に避けるため、ポリシーを定め、監査を完了するよう推奨し続けています。また、Canopyとは再生繊維や廃棄物などの代替原料を優先的に使用する次世代型繊維調達に関しても提携しています。

2022年初めには、古代林や危機的状況にある森林の木材に由来する繊維の使用を中止する目標を達成しました。

 

生物多様性への取り組み

地球上の生物の多様性と幅を意味する生物多様性は、地球の健全性、人類のウェルビーイング、そしてビジネスのレジリエンスの土台です。今日、生物多様性は土地利用や海面上昇、汚染、過剰搾取、気候変動、外来種や病気などにより、危機に瀕しています。

生物多様性はGap Inc. の原材料の生産を支え、当社のビジネスを支える地球社会を養うためには必要不可欠です。私たちは、自然に対する科学的根拠に基づいた目標を策定・実施し、将来の目標を達成するための生物多様性戦略の開発に取り組んでいます。

パートナーシップ:Gap Inc. は持続可能な調達、水レジリエンス、炭素排出量実質ゼロ、有害化学物質排出ゼロなどの環境目標や取り組みを多数確立している世界資源研究所、世界自然保護基金(WWF)、Textile Exchangeと連携しています。